毎年、花粉の季節になると病院でアレグラなどの飲み薬をもらっている方は多いのではないでしょうか。2026年10月、そんな方に関わる制度の詳細が固まったと報じられました。市販薬と成分や効果が近い処方薬を対象に、患者さんが「特別料金」を追加で払う仕組みです。毎日新聞の報道によると、窓口負担3割の方がアレグラ錠を30日分もらう場合、支払いは約46%増の790円になる見通しです。
この記事では、報道と各種の制度解説をもとに、新しい制度のしくみ、実際の負担額の考え方、追加負担がかからない人の条件を整理しました。春の花粉症シーズンの前に、知っておくと安心できる内容です。
OTC類似薬とは?まず基本を整理
市販薬と似た成分・効果の処方薬のこと
OTC類似薬とは、ドラッグストアなどで買える市販薬(OTC医薬品)と成分や効果が近く、医師の処方で受け取れる医療用の薬を指します。花粉症などのアレルギーを抑える薬、解熱鎮痛薬、湿布、保湿剤、便秘薬などが代表的です。
これまでは処方箋があれば、年齢や所得に応じた1〜3割の自己負担で受け取れました。市販薬は全額自己負担なので、処方してもらったほうが安く済むのが普通でした。
対象は約77成分・約1,100品目
制度解説によると、対象は77成分、約1,000〜1,100品目とされています。成分単位で決まるため、先発品だけでなくジェネリックも含まれるのが特徴です。花粉症薬のフェキソフェナジン(アレグラ)、保湿剤のヘパリン類似物質(ヒルドイド)、便秘に使う酸化マグネシウムなどが例に挙がっています。ご自身の薬が対象かどうかは、お薬手帳の成分名と照らし合わせるとわかります。

2027年3月から何が変わる?特別料金のしくみ
薬剤費の25%を「特別料金」として上乗せ
新制度は2027年3月に始まります。対象の薬については、薬剤費の4分の1(25%)が保険の対象外となり、患者さんが「特別料金」として全額を払います。
保険がまったく使えなくなるわけではありません。残りの75%分には、これまでどおり保険が適用されます。
計算例|薬代1,000円の場合
毎日新聞の記事にある例で考えてみます。薬剤費が1,000円なら、次のようになります。
- – 特別料金(保険外):1,000円 × 25% = 250円
- – 保険が使える残りの750円に、窓口負担3割をかける:225円
- – 合計の支払い:250円 + 225円 = 475円
これまでは1,000円の3割で300円でした。同じ薬でも、支払いは約1.6倍になる計算です。薬剤費の約47.5%を自分で負担することになります。
窓口負担が1割の人ほど増え方が大きい
特別料金の25%は、窓口負担の割合に関係なく同じ額がかかります。そのため、1割負担の方は増え方の割合がさらに大きくなります。高齢の方や、負担割合が低い方ほど「思ったより上がった」と感じやすい点には注意が必要です。
なお、実際の金額は薬の種類や処方日数で変わります。アレグラの790円は、報道で示された目安として受け取ってください。特別料金に消費税がかかる扱いと説明している情報もあり、最終的な金額は薬局での案内を確認するのが確実です。
なぜ今、この見直しが行われるのか
医療保険制度を将来も続けるために
見直しの目的として、報道では医療保険制度を将来に残すことが挙げられています。高齢化で医療費が増え続けるなか、市販薬で対応できる軽い症状に使う薬の費用を、保険だけでなく本人にも分担してもらうという考え方です。
関連する法律は2026年5月に成立し、同年9月30日に公布された政令で施行日が2027年3月1日と定められたと説明されています。
市販薬を買う人との公平性
市販薬を自費で買っている人と、病院で処方を受ける人との間にある負担の差を縮める、という狙いもあります。一方で、症状が重い人や、長く薬が必要な人にまで同じ負担を求めるのは適切ではありません。そこで設けられたのが、次に説明する「対象外」の考え方です。
追加負担がかからない人・ケース
配慮対象として示されている主な区分
特別料金の対象外となる主な区分は、制度解説で次のように紹介されています。
- – 子ども(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)
- – がんの治療を受けている人
- – 指定難病など、国の公費負担医療の対象となる人
- – 低所得の人(生活保護の医療扶助など)
- – 入院中の人
- – 妊娠中・授乳中の人
- – 医師が、長期の使用が医療上必要と認めた人
細かな運用基準は今後も整理される見込みです。上の区分は参考として読み、最終的には医療機関や薬局の説明に従ってください。

同じ薬でも「使う目的」で扱いが変わることがある
毎日新聞の報道でも触れられていますが、同じ成分の薬でも、病気の種類や使い方によって特別料金がかかるかどうかが変わる場合があります。たとえば、季節性の花粉症で使う場合と、慢性的な病気の治療で長期に使う場合とでは、判断が異なる可能性があります。
長期使用の判断は医師の判断が基本
「長く飲み続けているから対象外のはず」と自分で決めてしまわないことが大切です。長期使用が医療上必要かどうかは、医師が判断します。診察のときに「この薬は継続が必要か」「対象外になるか」を一言聞いておくと、会計でのトラブルを避けられます。
施行前に出た処方箋の扱い
2027年3月1日より前に出された処方箋は、同日以降に薬局へ出しても、特別料金の対象にならないと説明されています。リフィル処方箋や分割指示のある処方箋の2回目以降も同じ扱いとされています。
花粉症の人が今からできる備え
症状と薬の使い方を見直す
花粉症薬は、症状が出てから慌てて飲み始めるより、飛散の前から計画的に使うほうが落ち着いて過ごしやすいと言われます。ただ、自己判断で量や期間を変えるのは避けましょう。薬の使い方は、医師や薬剤師に相談して決めてください。
花粉症は春だけの問題ではありません。秋にも雑草の花粉でつらくなる方がいます。こちらの記事では、秋の花粉症のリスクと雑草との距離を詳しくまとめています。時期を問わず症状が出る方は、一度目を通してみてください。
市販薬と処方薬、どちらが得かを比べる
制度が始まると、場合によっては市販薬のほうが総額で安くなることもあり得ます。ただし、市販薬は症状に合うかどうかを自分で判断する必要があります。次の点を目安に比べてみてください。
- – 処方薬の窓口負担(診察料・調剤料を含む総額)
- – 市販薬の価格と、必要な日数分の合計
- – 症状が重い、または長引いている場合は、受診して原因を調べる必要があること
「安いから」という理由だけで選ぶのではなく、症状に合った薬を選ぶことが何より大切です。迷ったときは薬剤師に相談してください。
医療費控除の扱いは今後の案内を待つ
特別料金の部分が医療費控除の対象になるかどうかは、施行時に示される通知やQ&Aを待つ必要がある、と解説されています。領収書は捨てずに保管しておくと安心です。
受診するときに確認したいこと
診察室で聞いておきたい3つのポイント
制度が始まる前後は、病院や薬局でも説明が増えるはずです。次の3点を確認しておくとスムーズです。
- – 今もらっている薬は、OTC類似薬の対象成分に当たるか
- – 自分は、子ども・慢性疾患・長期使用などの対象外に当たるか
- – 同じ症状に使える、対象外の薬や別の選択肢はあるか
かかりつけ医・かかりつけ薬局を持つ意味
薬の相談は、これまでの経過を知っている医師や薬剤師にするのがいちばん話が早くなります。お薬手帳を1冊にまとめ、同じ薬局に通うようにしておくと、重複している薬や対象成分も見つけやすくなります。
お住まいの地域でクリニックを探すときは、メドライフジャーナルの東京のエリアページや大阪のエリアページも参考にしてください。
OTC医薬品を少しでも安く買いたいときの選択肢と、お薬ショップの特徴
2027年3月から特別料金が加わると、処方薬のほうが割高になるケースが出てきます。そのため、症状が軽いときは「市販薬をどこで買えば無理なく続けられるか」を考える方も増えそうです。ここでは、費用を抑える考え方と、個人輸入で医薬品を扱うお薬ショップの特徴を整理します。
市販薬の価格を比べるときのポイント
同じ成分の市販薬でも、買う場所によって価格は変わります。比べるときは、次の点を見てください。
- – 1日あたりの価格(総額を日数で割って比べる)
- – 先発品と、同じ成分のジェネリックの価格差
- – 大容量パックやまとめ買いの割引
- – 送料の有無と、送料無料になる条件
- – ポイントやクーポンの還元
薬局やドラッグストアのほか、ネット通販も比較の対象になります。症状に合う薬かどうかを薬剤師に確認したうえで、価格を見るのが基本です。
お薬ショップとは?個人輸入の通販サイト
OTC医薬品を最安値で購入を考える方の選択肢のひとつが、「お薬ショップ」です。海外の医薬品、ジェネリック医薬品、海外サプリメントの個人輸入をサポートする通販サイトで、薬剤師監修をうたっています。国内のドラッグストアの通販とは仕組みが異なり、注文はすべて「個人輸入」として扱われます。
サイトを見ると、次のような特徴があります。
- – 解熱鎮痛剤、免疫関連薬(アレルギー関連)、胃腸ケア、ビタミン・栄養補助など、幅広いカテゴリーがある
- – 2,000円以上の注文で送料無料
- – 新規会員登録や毎月のクーポンなど、お得な特典がある
- – 最寄りの郵便局での受け取り(郵便局留め)に対応している
- – 薬剤師や医師への相談窓口がある
商品ごとの1錠あたりの価格が表示されているので、1日あたりの費用を計算しやすいのも便利な点です。価格は変動することがあるため、購入前に各商品ページで最新の金額を確認してください。
個人輸入を利用するときの注意点
個人輸入は、国内の薬局で買う場合と違い、本人が責任を持って利用する仕組みです。安さだけで決めず、次の点を確認してください。
- – 個人使用の範囲で、決められた数量を守る
- – 国内で承認された薬とは、パッケージや表示、含有量が異なる場合がある
- – 一般に、個人輸入した医薬品で健康被害が出ても、国内の公的な救済制度の対象にならない場合がある
- – 成分や用法・用量、飲み合わせを事前に調べる
- – 持病がある方、妊娠中・授乳中の方、お子さん、高齢の方は、使う前に必ず医師や薬剤師に相談する
- – 症状が長引く、重い、いつもと違うときは、購入ではなく受診を優先する
「安さ」と「安全」のバランスをとる
薬代を抑えたい気持ちは自然なことです。それでも、いちばん大切なのは、今の症状に合う薬を安全に使うことです。国内の市販薬、処方薬、個人輸入のそれぞれに良い点と注意点があります。費用だけでなく、安全性と手間も含めて、自分に合った方法を選んでください。
秋冬の感染症シーズンとあわせて考えたいこと
秋から冬にかけては、インフルエンザなどの感染症も増えます。解熱鎮痛薬や去たん薬にも、OTC類似薬に当たるものがあります。シーズンの前に、家庭の薬の備えと受診のしかたを整理しておくと慌てずに済みます。流行期の準備については、インフルエンザシーズンに備える方法で解説しています。
まとめ|「知っておく」ことが、いちばんの備え
最後に、今回のポイントを整理します。
- – 2027年3月1日から、OTC類似薬(約77成分)に薬剤費の25%の特別料金がかかる
- – 窓口負担3割の場合、薬剤費の約47.5%が自己負担になる
- – アレグラ30日分は、報道によると約46%増の790円になる見通し
- – 子ども、がん・難病の治療、入院中、低所得の人などは対象外とされている
- – 長期使用が必要かどうかは、医師の判断が基本になる
制度の細かな運用は、これから厚生労働省などから案内が出る見込みです。決まった内容は変わることもあるため、気になる方は受診や調剤のときに、医師や薬剤師に直接確認してください。
メドライフジャーナルでは、健康にまつわる最新の話題をニュースカテゴリーや健康カテゴリーでお届けしています。記事を書いた高橋 由美のプロフィールも、よろしければご覧ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。薬の使用や変更は、必ず医師・薬剤師に相談してください。
参考情報
- 毎日新聞「アレグラ46%値上げ OTC類似薬の追加負担の免除条件」(2026年10月):https://mainichi.jp/articles/20261009/k00/00m/100/127000c
- くすりやブログ「OTC類似薬の負担増2027年3月|対象薬と対象外の人」:https://kusuriyablog.com/otc-similar-drugs-insurance-coverage/
- 医療機関向け解説「OTC類似薬の患者特別負担2027|対象77成分と免除ケース」:https://med-pro.jp/kaigyolab/column/otc-similar-drugs-special-charge-2027/

